現在、研修医向けの教科書の執筆を依頼されています。臨床医以外にもいえることですので、ちょっとこの「発揮能力とヒューマンスキル」のテーマを。
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あらゆる仕事、また、学校の試験にも言えることですが、人には「保有能力」と「発揮能力」での評価があります。
保有能力がいくら高くても、発揮度が低ければ、結局のところアウトプットが低いと評価を受ける。言うまでもなく、大事なことは発揮能力です。
多くの社会人を見まわして、知識は豊富で勉強熱心であるが、その力を存分にアウトプット(成果)として発揮して、職場や顧客から高い評価を得ているとは限らないことを実感します。
せっかくの保有能力を活かしていないのは、本人にとっても、組織にとっても、社会にとっても大きな損失かと思います。多くの人は、保有能力の向上(勉強やセミナー)に注力するが、「発揮の度合いを上げること」に力を注ぐほうが、早く、そして努力に対しても効率良く成果が得られると言えます。
「発揮の度合いを上げる」ために重要なのがヒューマンスキルを意識することだと思います。
臨床現場では特にヒューマンスキルが要求されますが、なかなかその教育、そして意識がなされていないから、医師など医療従事者に対して、患者さんからの不満が多いのかもしれません。良い医師というのは、ヒューマンスキルが高い先生のほうが評価されやすいように思います。
一口にヒューマンスキルと言っても、含まれる要素は広く、そして奥深いです。医師以外の社会人でも、ヒューマンスキルが言うまでもなくとても大事です。このHSの中でも、特にコミュニケーション、マネジメント(管理運用)、リーダーシップ、プレゼンテーション力(説明と納得)、協調性、共感力が重要であると思います。
特に、この中で「コミュニケーション力」が、全ての基本的スキルとしての基礎であると言っても過言ではないと考えます。コミュニケーションを上げることによって、マネジメントやリーダーシップ、顧客満足向上、他人との気持ちを共感することが、より高まるのは間違いありません。